先日の生放送で、「アイヌ系の顔立ち」という感覚にまつわる
差別意識についてふれた際に、
サイードの『オリエンタリズム』という本を教えていただいて、
興味を持ったので、さっそく1986年・平凡社刊のものを買って
読みはじめた。
けれど、こりゃとてもじゃないけど2、3日で読み切れないし、
電車の中で開いて頭に入ってくるような内容でもないわ。
正月の読書だな。私、新しい年はサイードからはじめます!
以前、絶版書・バーコードのない本だけを集めたネット古書店
をやっていた時、
たまたま入手したもののなかにこんな美術目録があって、
当時は売り物だったのでよく見ていなかったけど、
よくよく開いてみたら、
1990年の巡回展『オリエンタリズムの絵画と写真』の
図録集だった。
ぱらぱら見てみて、「アバター」や「エマニエル夫人」と
リンクして、ああ、なるほどなあと思った。
西欧の「征服者」としての視点で、無意識のうちに
「東洋人とはこういうもの」なる“理解”という支配の感覚が
あったんだろう。
描かれている女性の多くは、神秘的で色彩鮮やか、美しくて、
エロティック。そして、ちょっとメランコリック。
もちろん画家は美を追うものだし、裸体や骨格から学ぶべしと
いう基本もあるし、その他いろんな影響が絵になっているのだ
と思うけど、やはり、
西欧の男から見た「オリエンタルな女」というものに抱く欲望
のようなものがその表現には潜んでいるのだと思う。
そして「日本人と言えばゲイシャ、ニンジャ」だったように、
どこかから植え付けられた先入観で異世界を“見に行く”と、
その先入観から逃れられず、同じ先入観を再生産してしまう
ことがあるのだと思う。
似たことは、自分の日常にもありえるはずだ。
サイード読めばもっと詳しくいっぱい書いてあると思うけど。